最近ギターを始めたばかりですが、
ピックはどんなのを使うといいのでしょうか?
友人には「ロックをやるなら硬いピックを使え」と言われたのですが、、、。
楽器屋さんのピック売り場には膨大な数のピックが並べられ唖然としました。
厚さ、材質、形、文字通り無数で何を買っていいかわかりません。
初心者の私は何を使えばいいのでしょうか?
ピックには様々な厚さ、材質、形があります。
プロミュージシャンやアーティストは当然ピックにもこだわっており、自分の音楽性に合わせて使うピックを選択しています。
ある人は「硬い方がいい」といったと思えば、別の人は「柔らかい方がいいよ」と言ってみたり様々な意見もあります。
ギターを始めたばかりの初心者の方はどんなピックを使ったらいいのかわからない状態に陥っている方も多いのではないのでしょうか?
結果から申し上げますが初心者の方には厚さ0.5mm付近のThin(薄い)
形状はトライアングル(おにぎり)型がオススメです。(あくまで私の所感)
材質の選択は初心者の方にはまだまだ付き合いきれない部分なので
上記2点であればとりあえず何でも大丈夫です。
初心者の方にはまず薄いピックを使いピックのしなりから得られる
「ピックが弦に押し負ける」感覚を身体と耳に叩きこむと良いと思います。
目次
この記事でわかる事
- ピックの厚さ、形状、材質の違いとギターサウンドとの関係
- ピックは弦に負けた時に豊かな弦振動が生まれ「良い音」が鳴る
- 初心者の方には0.5mm付近の薄いピックがオススメ。ピックが薄くしなる為、「ピックが弦に押し負ける」状態になる。
- 以降は自身の習熟度、音楽性に合わせて使うピックも変えていく
それでは解説していきます!
・ピックの厚さ、形状、材質の違いとギターサウンドとの関係
ピックって何を使っても一緒じゃないのですか??
結局ギターのサウンドってギター本体や、
エレキだったらエフェクターやアンプで決まるものだと思うのですが、、、。
ピックには無数の材質や厚さや形がある中で、
ギターサウンドにどのような影響を与えるのでしょうか?
とりあえず私は初心者セットに付属されていたものを
ずっと使い続けている感じですが、、、。
ざっくりいうとピックの厚さは音量の強弱に、形状はプレイスタイルに、材質は弦を弾いた時の質感やアタック音に影響しています。
またピックは何よりプレイアビリティに直接かかわります。
ある意味アンプやエフェクターの選択より将来的にはシビアに考える必要があるかもしれません。
まずはピックの厚さについて説明します。
- Thin(薄い) ~0.60mm
- Medium(普通) 0.70mm~0.9mm
- Heavy(厚い) 1.00mm~1.50mm
- Extra Heavy(鬼厚い) 1.50mm~
厚さはだいたいこんな感じに分けされている事が多いです。
メーカーによっては
Thin⇒Soft
Heavy⇒Hard
等に置き換えられていたり、単に数値だけ表記されているものもあります。
当然ですが薄いほど柔らかくピックが良くしなり、厚くなるほど硬くピックがしならなくなります。
ピックの厚さによるサウンド影響ですが、
薄いピックは比較的力が入ってしまってもピックがしなることから力が逃げ、弦との引っ掛かりが少なくなります。
ピックのしなりから生まれる太く温かいサウンドが得られる反面、当然ピックがしなってしまうことから音量は小さくまた強弱もつけづらく、速いフレーズも弾きづらいと言われています。
ある程度力が入ってしまっても音もまとまり出音も安定します。
厚いピックになるほどピックはしなりにくくなり、
弦へのアタックも自身の技量で調整できるので強弱がつけやすく、ピックがしならない分速いフレーズも弾きやすいと言われています。
しかし弦への引っ掛かりは強くなるので、演奏に力が入ってしまうと太く温かいサウンドは得られず、脱力しピックから力を逃がす技術が必要です。
なるほど~。
厚さによるピックのしなりの関係は当然物理的に理解していましたが、
演奏にこの「しなり」が影響することは初めて知りました!
たかがピックでもなかなか奥が深いといったところは理解頂けたでしょうか?
初心者の方には力が入ってもピックがしなる0.5mm前後の薄いピックをオススメします!
後述でさらに詳しく説明しますが弦にピックが負ける感覚、すなわち「しなる」感覚が大事になってきます。次は形状を説明していきますよ~
ピックの形状
トライアングル型(おにぎり型)
コード弾きに適していると言われています。ピックを持つ面積が広く、三か所使えるので経済的で初心者にオススメです。
ティアドロップ型
涙のような形をしているのでそう命名されたそうです。トライアングルより小振りで軽くピッキングできるのでコード弾きだけでなく単音弾きなどにも適しています。
ジャズ型
ジャズギタリストが好んで使っているのでそう命名されたそうです。ティアドロップよりもさらに小振りで先端も尖っているので速弾きに適している事からメタル系ギタリストも多く愛用しており、特に「JAZZⅢ」というピックは有名です。
サムピック
親指に装着することからそう命名されたそうです。アコースティックギターで指弾きする際に良く使用され、親指で低音弦側(4~6弦)を強調するために使われます。
その他
ホームベース型、六角型、ハート型、円形など
アーティストとメーカーとの共同開発や新しいスタンダートへの新提案などかなりニッチなところを攻めたモデル。個人的には三振かホームランといった印象で、自分の音楽性や奏法と一致した場合は生涯最高の一枚になる可能性も。
ピックの形状は握った際のサイズ感や演奏スタイルによって選ぶと良さそうね。
初心者の方には大きくて握りやすい、
トライアングル(おにぎり)が私はオススメします!
また、初心者の方は力が入ってすぐにピックが削れてしまうので
三か所使えるのは経済的です!
最後に材質を説明していきます。
ピックの材質
ピックの材質こそ本当に無数にあってパッと思いつくだけで、
セルロイド、ナイロン、デルリン、ウルテム、
少しニッチになるとアクリル、樹脂、カーボネート
高価なものになるとべっ甲なんかもあります。
さてこの材質で何が変わってくるかというと単純な触り心地、強度、そしてピックが弦を弾いた時に出る音が変わってきます。
この弦を弾いた時の「パチ」「パコ」「ペチ」「ガリ」という音程や弦振動とも違う、
弾いた音、「弾音」ともいうべきある種の打楽器的な要素がピックの材質に大きくかかわってきます。
※「弾音」「打楽器的」という表現が正しいとは思いませんが、言語化が難しくご了承ください。
そもそもギターは撥弦楽器(はつげんがっき)と呼ばれ、なんらかの方法で弦を弾いて音を出すという楽器です。
このなんらかの方法というのがギターの場合はピックや指、爪だったりします。
そこに音程や弦振動が乗っかり、ボディーで共鳴させてギターの音になるわけです。
指で弾くと指は当然柔らかいのでこの「弾音」はほとんど感じませんし、硬く厚い材質で弾くとより顕著に感じられるはずです。
以下、筆者の所感ですが代表的な材質による「弾音」の違いをまとめました。
- セルロイド:豊かな倍音が感じられる。ピックの定番素材。割れやすい。
- ナイロン:優しく丸い出音。滑りやすい。
- デルリン:硬くシャープな出音。削れやすい。
- ウルテム:硬いけど滑らかな出音。人の爪に近い素材。筆者オススメ。
- トーテックス:音はデルリンに似ている。デルリンよりザラっとしている。
- べっ甲:高価なので弾いたことがない。一枚だいたい1000円以上。是非ご自身でお試しあれ。
ちなみに0.5mmぐらいの薄いピックを使うとピックがしなることからこの材質による音の違いは感じにくくなります。
体感0.8mm以上から材質の違いによる弦を弾く「弾音」の違いが出てきます。
ピックスクラッチであったり、ピックのアングルを変えて低音弦をガリっと刻むように弾く際はさらに材質による音の違いが顕著になります。
ん~、、、。ここまで種類が豊富だと
結局何を使ったらいいか余計に混乱してきたぞ、、、。
初心者の方は材質まで付き合いきれない部分があるかと思いますので、
まずは「0.5mm程度の薄いピック」
「大きくて握りやすく削れても経済的なトライアングル型」
この2点を最初使うのがオススメです!理由はしっかり後述していきますよ!
ちっ。だったら今材質の事紹介すんじゃねーよ。
しかも一番スペース使ってるじゃねーか。
(殺気が!?)
次に初心者の方が「0.5mm程度の薄いピック」を使うメリットを
もっと深堀したいきたいと思います!
・ピックは弦に押し負けた時に豊かな弦振動が生まれ「良い音」が鳴る
ピックにもたくさん種類があり、
自分に合ったピックを選ぶ必要があることはわかりました。
ではピックの違いで具体的にどのような差が出てくるのでしょうか?
ピックは演奏中に直接弦に触れる道具です。
当然どのような弾き方をするかで、出音も変わってくるのです。
まずはそもそもギターで良い音を鳴らすにどんな弾き方が良いのか、
解説していきます。
「良い音」を鳴らす。
なかなか深いテーマに切り込んで恐縮でありますが、好みの差はあれ、例えば「太くて温かみがある音」が万人的に心地良く「良い音」と感じる事が多いのではないでしょうか?
ではギターに置き換えた際「良い音」「太く温かみがある音」が鳴っているのはどういう状況なのでしょうか。
それはズバリ、
ピックで弦を弾く際、ピックが弦に押し負けた時に豊かな弦振動が生まれ良い音が鳴るとされています。
ピックが弦に押し負ける?
弦をしっかりと鳴らす為にはピックを強く握りこんで
力強く弾いた方が良さそうな気がするのですが?
どうしても「ロック」という言葉の先入観などで、
特にエレキギターは荒々しく弾くのが良いだろ的な風潮もあります。
しかしここは「ロック」の先入観を一度捨て、
他の楽器に置き換えて考えてみると良いでしょう。
同じ弦楽器のヴァイオリンやチェロやコントラバス等に置き換えても、力任せに弓を引いていては「ギィ~ギィ~」と不快な音が出てしまいます。
トライアングルやカスタネットにしろ、思いっきり振りかぶって叩きつけるような音は聞くに堪えないですよね。
楽器に置き換えなくても拍手するとき、思いっきり両手を叩かなくとも、音を大きく響かせるコツはなんとなくありますよね。
ヴォーカルなんかはもっとわかりやすく、喉を締め付けて歌っている素人と、ヴォイストレーニングを積んで身体で響かせてるソプラノ歌手とでは、たとえ同じ高音、同じ音程を出せたとしても聴こえがまったく違います。
色んな例が出てきましたが共通して言えることは
「力任せが力強い音を生むわけではない」ということがわかり、
むしろ「良い音には脱力が必要」ということが見えてきた気がします。
ギターにおいても力いっぱいピックで弦を鳴らすのではなく、
「ピックが弦に押し負ける」感覚で、演奏する必要があるのです。
しかし初心者の方は演奏にどうしても力が入ってしまうので、
「ピックが弦に押し負ける」感覚がなかなかつかめないと思います。
そこで今回の本題でもある初心者なりのピック選びが重要になってきます。
・初心者の方には0.5mm付近の薄いピックがオススメ。ピックが薄くしなる為、「ピックが弦に押し負ける」状態になる。
ギターで良い音を鳴らすには「ピックが弦に押し負ける」という感覚が大事ということがわかりました。
では「初心者には0.5mm付近のピックがオススメ」とのことですが、初心者の演奏におけるピックの厚さと「ピックが弦に押し負ける」というのはどう関係しているのでしょうか?
0.5mm付近のピックは演奏でピックが弦に当たった際に、ピック自体がしなってくれます。
つまり弦と接触しピックがしなる事で「ピックが弦に押し負ける」という状況になります。
初心者はどうしても演奏に力が入ってしまいますが、このピックのしなりにより、
余計な力みをカバーしてくれるのです。
前項でお伝えした通り、ギターで良い音を鳴らすには
「ピックが弦に押し負ける」程度に力を脱力し演奏する必要があります。
ピックが弦に当たった際、ピックが人差し指と親指との握りの間で軽く遊びができピックが傾いた状態で弦を振りぬくと「ピックが弦に押し負ける」ような状態になります。
しかし初心者の方はどうしても演奏に力が入ってしまうので、この感覚がなかなかわからないと思いますし、ピックを持つ利き手よりもコードを押さえる逆手で精一杯な現状があると思います。
「ピックが弦に押し負ける」どころかピックがどっかに吹っ飛んでいったり、アップストロークで弦に引っ掛かってしまったり、、、と、はじめはそこまで意識が向かないのが普通です。
そこで0.5mm付近の薄いピックを使用することで、演奏に力みが入ってしまった際もピック自体がしなるので「ピックが弦に押し負ける」状態になるのです。弦がしなるので、アップストロークの引っ掛かりも緩和してくれます。
初心者の方が0.5mm付近の薄いピックのしなりからくる「ピックが弦に押し負ける」感覚を体現できることで、安定して「太く温かい音」の一端を感じることができるはずです。
ギターを始めた当初から厚くて硬いピックを使ってましたが、
弦によく引っ掛かりピックが吹っ飛んでしまうので、
飛ばないように余計に強く握ってしまってました。
そのような弾き方ではきっと硬くガリっとした感じの音になっていたと思います。
まずは柔らかいピックのしなりやピックが弦に押し負ける感覚と、
そこからくる「ギターの良い音」を身体と耳に叩きこみましょう。
・以降は自身の習熟度、音楽性に合わせて使うピックも変えていく
薄いピックを使うことで初心者でもピックがしなることから、
太く温かいサウンドを得られることがわかりました。
しかし「強弱がつけにくい」といったデメリットも気になりますし、
ギターの上手な人は厚く硬いピックを使っている人が多い気がします。
確かにギターの上手な人は厚く硬いピックを選択する人が多いですよね。
より幅広い表現を追求し、強弱や細かいニュアンスを重要視する為です。
そしてそういった方々は厚く硬いピックを使用しても薄いピックで弾いたような「しなりサウンド」を出すこともできます。
ピックがしならない分はうまく脱力し握った指の中でピックがグラグラ動くように弾くことで、
弦に押し負けるような状態を作ることが出来るのです。
ここまで0.5mm付近の薄く柔らかいピックを推していますが、やはりデメリットもあります。
ピックがしなる事で安定したサウンドは鳴らせるのですが、逆に強弱や細かいニュアンスがつけづらいのです。
そして音楽の表現で差が出るのはこの強弱や細かいニュアンスであることも容易に想像がつくと思います。
初心者を抜け、中級者へ、そしてゆくゆくは上級者を目指すならば、ご自身の習熟度や音楽性に合わせてピックを変えていく事も視野に入れていかねばならないでしょう。
うーん。だったら最初から厚くて硬いピックで脱力を意識して練習していっても良いのではないでしょうか?
むしろ初心者のうちから、細かいニュアンスや強弱に慣れておいた方がいい気がします。
初心者の方がいきなり厚くて硬いピックを使用し、ピックが弦に押し負けるように弾いてみても果たしてそれが脱力した弾き方なのか、実際出てる音はどうなのか、なかなか判別がつかない方もいると思います。薄く柔らかいピックを経験することで、ピックがしなる感覚や、そこから生まれる「ギターとしての良い音」が身についていると、ピックを厚く硬いものに変えた際にも、基準として照らし合わせができるのです。
これは私自身の経験談になるのですが、私は初心者の頃から「柔らかいピックではロックは出来ない」と謎の価値観にすがり、ずっと厚く硬いピックを使っていました。
弦に引っ掛かり、しょっちゅうピックが吹っ飛んでいたので飛ばないようピックは強く握り、手首は固定され、肘からぶん回すような弾き方をしていました。
当然弦はよく切れるし、ピックが上手くヒットせずピックのふちが弦に擦れるような不快な音も良く出てたと思います。
当時は「これはこれでいい音、自分にしか出せない音」とこれまた謎の価値観でふんぞりかえってました。
最初に組んだバンドを脱退した事を気に、いったんギターを基礎から振り返ろうと思う時期があり、そのとき柔らかいピックを推奨されている、とある教則本に出会い、ものは試しで使ってみる事にしました。
その衝撃は今でも覚えていて「なんじゃこりゃあ!」と今まで自分が出したことが無い「太くて温かい」そしてとてもまとまりのあるサウンドが出せたのです。
それまで音色を向上させるためにピックアップを変えたり、アンプを変えたりそんなとこばっかりしていましたが、たった100円のピックを変えた時の方が自分にとっては衝撃でした。
そしてそれはただ単にいままでの弾き方がまったくなってなかったということに気づいたのです。
ピックのしなりにより弦の引っ掛かりやピックの吹っ飛びもなくなった為、この時期にだいぶ力を抜くことができギュッと握る事もなくなりました。
そしてそこからまた徐々に厚く硬いピックに持ち替えていく事になるのですが、当然持ち替えた瞬間は弾き方や出音も硬くなります。
しかし今度はピックがしなる感覚や弦に押し負ける感覚、そこから生まれるサウンドが身体と耳に叩きこまれていたので、ピックが厚く硬いものに変わっても答え合わせのように順応できるようになりました。
ここまで柔らかいピックを推しての極論ですが、ピックは最終的に厚く硬いピックを脱力して弾けるようになるのが一番表現の幅が広がります。しかしその感覚をつかむためには柔らかいピックを弾いた経験が生きる気がするのです。
最後に
さて、今回はピックと良い音の関係と初心者にオススメなピックとして0.5mm程度の薄いピック、また弾きやすく三か所つかえるトライアングル型をオススメであると紹介させて頂きました。
ピックはプレイアビリティに直接かかわり、ギターの最重要小物と個人的には感じています。
自分の感情を弦に直接伝達させるツールですからね。
ギター本体やアンプ等が最高級でも、楽器を上手に鳴らせないとそれは汚い音として共鳴、増幅されてしまいます。
まずは薄いピックでピックのしなりやピックが弦に押し負ける感覚をつかむことで、習熟度や音楽性の変化と共に厚く硬いピックに持ち替えた際もその感覚が必ず生きてくると思います。
初心者のうちはあれこれ無数にあるピック選びに時間を割かずに、まずは薄いピックで練習に集中し、
中級者、上級者にステップアップしていくなかで、色々弾き比べていくと良いと思います!
それではまた次の記事でお会いしましょう~
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